モビールブログ · 8月 12, 2013

モビール Q&A

聞く人 架空のモビール愛好家SKさん

答える人 モビールの製作者・まゆ村村長 蒲田哲夫氏

折角買ってきたモビールなのに “吊る前に糸がからんで駄目にしてしまった” という話をよく聞きます。

本当に残念ですね。モビールは箱を開けてセロテープをはずし静かに環を引っ張れば からむことなく上から順番に出てくるのですが、どうしても気になるからつい全部を床の上に 出してしまったりするのでしょうね。箱からの出し方は、環をゆっくり引き上げるという

きわめて簡単なことなのですがね。

では箱に入れる時には、どうしたらいいのですか。

Q

A

Q

A

Q

箱に入れる話がまだですよ。

A

図のように床に並べたら後は簡単です。下から順に 箱に入れ、入れ終わったら中ブタを一枚かぶせて その上に横軸のワイヤーも下から順に並べ セロテープで止めておきます。

丁度、出し方の逆になっているわけです。

Q

半分わかったような、わからないような、
まだちょっと心配です。

A

そうだと思いますよ。糸だらけのモビールは 見るからにこんがらがりそうですから

でも慎重にやって下されば意外と簡単に出来る筈です。

A

Q

吹き抜けの階段に吊る場合と、狭い手洗いに吊る場合と同じ長さにするわけにはいきません
からね。

A

洗面所の場合は狭くても天井が低くても手洗いの上は、人が通りませんから意外と 長く吊ることが出来るでしょうし、応接間のテーブルの上とか座敷の床の間や違い棚の

前とかも同じことが言えると思います。

Q

次に吊り方ですが、どんな場所に吊れば
いいのでしょうか。家の中は高さも広さも
一定とは限りませんからね。

その通りです。作る側は便宜上ある一定の 長さに糸を揃えますが、同じ高さの部屋でも 人がよく通る場所に吊る場合には吊り上げて おかないと頭にひっかかりますし、窓際だとか

壁際だとか部屋の四隅に吊るような場合には、少々吊り下げても邪魔にはなりません。

まず右手でモビールをぶら下げて左手で一番下を持ち、左手で持っている一番下から順番に 床の上に落としていきます。結果は図のように並ぶのですが、並べるというより並んでしまうのです。 左手、つまり一番下を右手に対して少し開きかげんに引っ張れば、モビールは勝手に

下図のような形になりますからそのまま床の上に置けばいいのです。

吹き抜けはどうしましょうか。

Q

A

困りましたね。糸を継ぎ足すか、ワイヤーで 長いフックを作るかしかないでしょう。 それが面倒なら、天井からではなく階段の 途中から吊るとか、工夫してみて下さい。 参考までに “モビールのある風景・吹き抜けの

カモメ” をご覧になってみては如何でしょうか。

Q

又、もとに戻ってしまうみたいですがモビールは
やはり糸のもつれが一番の心配事ですね。
何か、いい解決法はありませんか。

A

糸を使わずに全部ワイヤーで仕上げてしまえば いいのです。しかしそれではモビール本来の自然な動きが制約されてしまいますし 結局は根気よく、もつれをといていくしかないのでしょうね。それでもとけない時には 糸を切って新しくつけ直すしかないでしょう。持って来て下されば、私に出来ることなら 何とかさせて頂きますが、ご自分でやってみるのも面白いと思いますよ。

それがモビール作りのキッカケになってくれたりしたら最高ですね。

Q

長い間吊っていると変色したり汚れたりしませんか。

A

勿論汚れますし、変色します。ちょっとこんな話を聞いて下さい。 ある時私は友人の事務所を訪れて、なめし皮で作った見事なヨットのモビールが 彼のデスクの上の天井から下がっているのに気づきました。“どこで手に入れたんだ” と 聞くと、彼はあきれ顔で “君からだよ” と答えたのです。種をあかせば彼が とびきりのヘビースモーカーであったこと、そしてそのモビールのヨットは10年以上もそこに

吊られていたこと、の結果だったのです。

Q

煙草の煙で白い繭が茶色になってしまった、という意味ですね。

A

繭だけではなくて、帆もマストも茶色というよりは見事なベージュ色に変わっていました。
それが自分の作ったヨットだとは全く気付きませんでした。

Q

今のは見事に変色した話でしたが見事ではなく、無惨に変色することもあるでしょうね。

A

勿論、ほとんどがそうだと思います。私は30年ほど前に作った西洋風人形の モビールを吊っていて見るたびに、いつまでも綺麗なことに驚いていましたが、ある時 イメージチェンジのために新しいモビールを持ち込んでみて、その違いにびっくりした思い出 があります。それだけを見ていると目立たなくても比較してみれば一目瞭然です。

直射日光の当たる場所に吊っておけば一ヶ月で変色してしまうでしょう。

Q

それを何とかする方法はないのですか。

A

私の経験では、繭も塗料も染料も日光には抵抗出来ないようです。そのかわり 日光の当たらない場所にあるモビールは何年たっても気になるほどの変化を見せません。

これは何もモビールに限ったことではなく、総ての商品に言えることなのではないでしょうか。

Q

日光はあきらめるとして、チリやホコリや思わぬ間違いでの汚れ等には、どう対処すれば
いいのですか。

A

チリやホコリは息を吹きかけて飛ばせばいいでしょう。思わぬ汚れは思い出として
そのままにしておくか、どうしても気になるのなら新品と、とりかえるしかありません。

Q

厳しい答えですね。

A

厳しい答ではなく、正しい答です。モビールでなくても丸洗い出来るような装飾品は、ほとんど ありませんし、花だってしおれてきたら、とりかえるでしょう。少なくともモビールは花の100倍は

長持ちしますから、汚れたら買いかえて貰わないと私の商売が成り立ちません。

Q

恐れ入りました。汚れたら捨てるということですね。

A

誤解のないように言っておきますが私としては出来れば汚さずに、捨てずに、私の作った モビールを飾り続けて欲しいと思っています。 “モビールのある風景・青春のカッパ” でも 触れているように、古いモビールには古いが故の良さがあります。それを良いと思って下さる 方には大切に飾り続けて欲しいと思いますし、汚れだと感じる方には新しいものと とりかえて頂きたいと思います。モビールに限らず、良いか悪いかを決めるのは人それぞれの

感性なのですから。

Q

ごもっとも。ではそういうことで今回は終わりにしましょう。