さて、何はともあれ1人のモビール屋さんがよちよち歩きを始めました。誕生したばかりのモビール屋さんが
一番にすべきことは何でしょうか。一番にすべきことも、二番にすべきことも答えはいつも商品作りです。
テーマはアウトドアライフかスポーツかミュージックかロマンかメルヘンか、それとも自然志向の 草花か、縁起物か。素材は紙にするか布にするか、それとも木の実やドライフラワーや漆や竹や
プラスチックにするか、大まかな土俵を決めておかないと何事も始まりません。
商品も作品もセンスとテクニックを世に問う自分の分身みたいなものですが、特に商品は採点者が 自腹を痛めるお客様ですから、これは言い訳のきかない力勝負です。とにかくテーマがきまり 材料も揃っていくつかの商品候補が出来たとしましょう。これを店頭に陳列する本物の商品にまで 仕上げるのが意外とむつかしいのです。むつかしいだけでなく実はこれからが本当の意味での
商品作りなのです。
全く新しいシルエットを次から次へと作り出せたらいいのですが同じシルエットでも色を変え 付属品を変え、用途を変えて様々に見せることが出来る、ということのヒントにはなった
でしょうか。可愛い商品には沢山のチャンスを与えてあげたいものです。
もう一ツのヒントは智恵の結晶である人形本体を売るだけではなく、付随する飾り具を含めた 商品化を計り付加価値を高めるということです。本体だけなら100円でしか売れないものが あれやこれやくっつければ1000円で売れるかも知れません。“何を作ろうとかかる時間は 同じようにかかるんだ”というのは職人さんや内職さんの発想です。小なりとはいえ よちよち歩きのセミプロさんも一応は一国一城の主なのですから、指示されて仕事をする彼等と 同じことを考えていていいわけはありません。原価の中で一番高くつく自分の時間を節約し、その
時間でもっと素晴しいアイディアを思いついて次の段階へ進むための力を貯えましょう。
これでセミプロは卒業です。経験をつんで自信がつけば専業のモビール作家としてプロデビュー することになります。全身に意欲が充満するのを感じられない時にはいさぎよく断念して下さい。 たかがモビールといえども本気でなければうまくいきませんし、アマチュアだってセミプロだって 結構楽しめますから、プロとしてのスタートは充分に機が熟してからでいいのではないでしょうか。
穏やかな起業が穏やかでなかったら話にも何もなりませんからね。
一方に切り込みを
入れてもう一方に差し込む
後から見るとこんな
具合です
顔の部分を切り抜く
和紙でくるんで頭のテッペンを
糸でしばる
顔には内側から繭を貼る
柱に掛けてみました
吸盤をつけて自動車に
くっつけました
クリスマスツリーの飾りや イヤリングにもなるのかな
と丸めてみました
妖精の底からワイヤーを差し込み
葉をつけてみました
天井から吊りました
参考までに私が試作している“小さな妖精”を例にして
商品化を試みてみることにしましょう。
スタンドモビールにして
机の上に置きました
カッターナイフで繭を二ツに
切り分ける